私の会社は5月まで非常に忙しいため、従業員の慰安旅行は6月に行くことが恒例になっています。例年は沖縄あたりが順当なのですが、今年はどうしようかと迷いました。旅行支援の影響か、以前に比べると旅費が異常に高くなっていたのです。そんな中、ある旅行会社のサイパン1人7万円というツアーを従業員が見つけてきました。しかもゴルフ1R無料!
以前会社のみんなとサイパンに行ったのが2017年11月。その翌年5月にデルタ航空が日本直行便を廃止したため、サイパンにはもう行けないのかと残念がったのを覚えています。
今回はユナイテッド航空が2022年9月に日本直行便を運航開始したことへの周知活動の一環としてマリアナ連邦観光局とのコラボで実現した超格安ツアーだったようです。
旅行当日、ウキウキしながら成田空港に行きましたが、「これはおかしい」ということからスタートしました。午後5時にはほとんどすべての土産物屋が閉まってしまい、午後7時には開いている店がハンバーガー屋とコンビニくらいになってしまっていたのです。そして出国手続きはガラガラ……。
座席数200席ちょっとの飛行機に搭乗すると結構混雑しているのに、日本人は数えるほどしかいない。飛行機の中で日本語が全く通じない……。
現地時間2時に到着、そのままホテルに行き、仮眠を取った後いよいよサイパンを満喫――なんてことを考えていた我々の目の前に、6年前の景色はありませんでした。さすがに道は変わりませんが、あったはずの飲食店などは跡形もなく、夜8時になると飲みに行くような場所もなく、ただホテルで酒を飲むくらいしかやることがない……。
ホテルの近くでは、タイトルの「I ♡ SAIPAN」という土産物屋は健在でしたが、ほかに営業しているのはカジノがなくなった免税店とABCストア、地元のスーパーくらい……。
現地で知り合った中国系のマッサージ店オーナーと30分くらい話をしました。彼がサイパンに来た1998年当時、それはそれは儲かったそうです。お客のほとんどが日本人で、サイパンにあるホテルもほとんど日本企業。毎日のように日本からのジャンボ機が到着し、毎日数百人の日本人が遊びに来てお金を使ってくれた、という話でした。
それが今では直行便が再開しても当日のお客は我々だけ……。
「日本人が来てくれないと、サイパンはもう終わりだね!!」
オーナーの最後の一言が忘れられません。
我々日本人のかつての影響力を実感した旅行となりました。