立場の違い

私の仕事は財務面からの「潰れない会社作りのお手伝い」であるため、会社の社長に日々お会いし、お話をさせていただいています。今まで何百人、もしかしたら千人を超える社長とお話をさせていただいてきましたが、つくづく思うのは社長は(いろいろな面で)孤独であるということです。

私はよく、従業員との「立場の違い」という話をさせていただきます。

社長の多くは、会社を良くするも悪くするも全従業員が「同じ方向を見ているか?」や「社長の考えを理解できているか?」、「会社のことを第一に考えているか?」、「お客様第一主義!」などが大切であると考えています。

私も自分の会社の発展を考えれば、同じことを考えています。しかし、ここに「立場の違い」という隔たりが邪魔をします。上に列記した言葉をもう一度見てください。主体が従業員でないため、従業員が実感できないのです。

例えば、エアコンや電灯を消さずに帰宅した従業員が「いや~、消したはずなんですけどね」と悪びれずに答えたり、「お客さんが値引き値引きってうるさいから面倒なんで値引きしちゃいました」と平気で言ったり、社長が床に落ちているホチキスの針やクリップを拾っているのにそれを落とした従業員は全く気にせずその横を素通りしたり、などなど、よく聞く話です。

面白いのは、このような言動をした従業員が、自宅に帰れば「何度言ったら分かるんだ!」や「電気代は誰が払っていると思っているんだ!」などと自分の子供にけっこう言っていることです。

「被害を被るのは誰だ?」という立場の違いがさせる事象ですが、逆に考えれば、それを実感させることができれば、つまり、全従業員が被害を被る、あるいは恩恵を受けられる、と自分事化させることができれば、悪い事象は減り、良い事象はさらに良くなると思います。

非常に難しいことだと思いますが、従業員間も含め「立場の違い」を少しでも解消させることができれば相当良い会社になることは間違いないでしょう。

「物事の本質を見極め行動する」――。私が日々実感していることです。