素の自分を出す社長

 できる社長は、素の自分を出すことによって、従業員にも素を出させています。まず社長がありのままの姿を見せないと、従業員は見せません。

 従業員の心理が分からないのに、表面的なかっこいいことばかり言ってしまう社長がいます。例えば、給料を「払っている」ではなく「払わせていただいています」などと言うわけです。そういう社長に限って、会社の数字が少し悪くなるだけで「給料を払ってやってんのに従業員が働かない」などと陰で言う。


 だったら最初から「払ってやっている」でいいではありませんか。世間で平均賃金が500万円だったら、600万円も払えば「払ってやっている」でいいのではないでしょうか。

 500万円しか払わないのに、「払わせていただいている」などと心にもない飾りつけをするから、発言に一貫性がなく、フラフラするのです。

 社長は従業員に本音を語り、そのうえで、働くことの意義を本人のために見つけてもらうことです。 

「人生は仕事ありきだ」などと仕事最優先の考え方を植えつける経営者が多いのですが、働くことの趣旨がそもそもおかしい。

 私は「仕事は生活の糧」だと思っています。生活費を稼ぐために働いているのです。修業の場ではありません。修行の場ならお寺に行けばいいのです。