物価高?

ここのところ少し落ち着きましたが、原価高騰による値上げ、原料高騰による値上げ、円安による値上げなど、値上げに関する報道が非常に多くありました。実際ほとんどすべてのものが値上げをしていて、中には「これが数カ月前と同じ商品の価格なのか」と驚く値上げも目にしました。

例えば、1個120円だったのが150円に値上げ、率にすると25%の値上げをした商品がざらにあります。私はへそ曲がりなのでこの25%30円の値上げということにさほど驚かず、「もともとの120円が適正価格だったのか?」や「25%30円の値上げでは実際の損失を補填できないのでは?」などと考えてしまいます。

報道番組などのインタビューで、「日本は給料に対して物価が高い」という趣旨の発言をけっこう耳にしましたが、本当に日本は物価が高いのでしょうか?

私が小学生のころ、某ハンバーガー屋のハンバーガーが1個180円、チーズバーガーが210円だったように記憶しています。当時の大卒初任給は月収で10万円少々という時代に、この価格で行列ができていました。

コロナ前に旅行したインドネシアのバリ島では500mlのコーラが日本円に換算すると1本40円でした。日本で買う3分の1と考えれば安く感じますが、バリ島での平均月収は日本円で3万円前後、これは日本の平均月収の10分の1です。ということは、日本の経済基準に引き直すとコーラ1本を400円で飲んでいるということでした。

今ハワイでは価格高騰と円安でラーメン1杯が3000円もするという話を聞きます。しかし今から4年前でもアラモアナショッピングセンターにある日本系のちゃんぽん店ではちゃんぽん1杯10ドル以上していました。

日本人は「お客様は神様」や「お客様に還元」、「少しでもお客様のため」などの精神で商売をしている方が多いのですが、その精神を価格に“転嫁”して「少しでも安く」というのはいかがなものかと私は思います。モノやサービスには必ず適正価格があり、その適正価格に基づく商売によって働く従業員や付き合いのある業者らの生活の成長安定が支えられるのです。

私は「消費者を甘やかしている」という言い方をよくしますが、適正価格より安く売ることは、買う側にとっては出費が抑えられてありがたいことですが、売る側の従業員にとっては個々人の将来が見えない状況になってしまいます。

もともとの価格も値上げ後の価格も適正価格ではない(低すぎる)と私は考えています。日本の高品質の商品・サービスを世界で一番評価していないのは私たち日本人なのではないかと痛感する日々です。